2021年1月24日富士見市きらりマルチホールにて。
ここのHPでは2度目の登場。
実際、よく演奏される曲だった。(森田)
横谷氏の書く曲には表題に月を冠したものがとても多い。
筆者の私見で恐縮だが、世界中の曲の表題に関して言えば太陽よりも月のそれのほうが多いような気がする。
そして太陽よりも月の方が名曲が多い気がする。あくまで私見。
太陽を大勢に向かって大声で語り掛ける演説とするなら、月は独り言の呟きのようだ。
一人ならば泣いても笑っても誰にも遠慮はいらない。
この曲の主人公は月に向かって泣いているようだ。泣き叫ぶのではなくあくまで呟くように。(森田)
とても静かな嵐だ。
荒々しい自然の猛威を否定して立ち向かうのではなく、砂に閉じ込められ、無力な状態に押し込められることでむしろ安らぎを見いだしている。
束縛を跳ね返そうとする意思の力は素晴らしいが、時には優しい牢獄に捕らえられるのもまた良い。(森田)
こういう強いビートの曲も楽しい。
流れる水彩画ではなく油絵のようにしっかりと画面を色で覆いつくす。
楽しい。(森田)
君の瞳に乾杯、とは映画カサブランカでの名セリフ。
Here's looking at you,kidがもともとの台詞だが、それを翻訳したのは翻訳家の高橋鎮夫氏であるとされている。
さすがの名訳、と今では思われているが当時は放送したNHKに批判の電話が集まったとのこと。
実際に映画をDVDで観てみるとその通りの字幕がしっかりと未だに使われていた.
結局のところとても印象深い翻訳であったということなのだろう。(森田)
横谷基トリオの月。
このトリオに参加して1番最初に横谷氏に渡された譜面が2曲あり、そのうちの1曲がこのHalfmoonだった。
もう20年も昔の話・・・
当時、率直に言えばさっぱり理解できなかった。
ひたすら浮遊しているだけのハーモニーに色彩感のみの動機、どこが曲の始まりでどこが終わりなのかさえ掴めなかった。
しかしよくよく聴き入ってみると物語の章のような山が配置されていることに気づく。これは横谷氏の構成の妙。
その後、時間をおいてこういった曲たちと付き合っていくにつれ理解できなくてもそれで良いということを理解した。
むしろ理解したと誤解してしまうと全然違った解釈になってしまうのかもしれなく、そちらのほうが罪は重い。(森田)
青い空と赤いドラゴン。
ドラゴンという架空の生物が登場するがおそらくこの曲の肝は対比だ。
赤と青、静と動、近と遠。
ドラゴンが宙を舞っている。恐ろしい姿とは対照的にひたすら優美に。
我々ヒト族はそれに対してなすすべも無く恐怖する。もしくは賛美する。(森田)
横谷氏の夜。
'And I have a blues'や'Cry for the moon'などと同じ世界観を持つ曲。
ここでもやはり無口な人がいる。傷ついてもそれをただ一人で抱え込んでいる。(森田)
貿易風。
貿易風という単語にはとても大きな解放感と海洋の広がりがある。
まだ世界が良い意味での誤解と無理解で分断されていた時代、宝島を目指したりクラーケンの存在を恐れることが出来た時代。世界中に張り巡らされた網で世界の情報が均一に均されてしまうより以前の時代。
不便と不平等と無駄の時代・・・・。
悪いヤツは悪い顔をして分かりやすく、良いヤツはそれなりの顔をしていた時代。
良いことと悪いことの量は今の時代と大して変わらないのかもしれないけど、少なくともまだ今より人は楽に呼吸をしていたはずだ。(森田)